経済ニュースや企業の決算発表を見ていると、「営業利益が過去最高!」「純利益は赤字に転落…」など、色々な「利益」の言葉が登場しますよね。
投資初心者からすると、「結局どれを見ればいいの?ひとつにまとめてよ!」と言いたくなるかもしれません。
実は、日本の決算書(損益計算書)には5つの利益(利益の5兄弟)が存在します。これらは「上から順番に、何を引き算していくか」で名前が変わっているだけです。
今回は、この5兄弟の違いを「あなたがパン屋さんを経営している」という例を使って、日本一やさしく解説します!
利益の5兄弟とは?(全体像)
まずは全体像です。パンが売れて手に入ったすべてのお金(売上高)から、順番に色々な費用を引いていきます。
- 長男:売上総利益(粗利)
- 次男:営業利益(本業の稼ぎ)
- 三男:経常利益(普段の実力)
- 四男:税引前当期純利益(臨時ボーナス込み)
- 五男:当期純利益(最終的な手残り)
それでは、上から順番に引き算をしていきましょう!
1. 長男:売上総利益(通称:粗利)
【式】売上高 - 商品の原価 = 売上総利益
お店でパンが1,000万円分売れたとします。これが「売上高」です。 しかし、パンを作るには「小麦粉」や「バター」などの材料費(商品の原価)がかかっていますよね。仮に材料費が300万円だった場合、残った700万円が長男の「売上総利益」です。 ビジネスの世界ではよく「粗利(あらり)」と呼ばれ、その商品の「ブランド力」や「付加価値の高さ」を表します。
2. 次男:営業利益(本業の稼ぎ)★超重要!
【式】売上総利益 - お店の経費 = 営業利益
パンを作る材料費以外にも、お店を運営するにはお金がかかります。「家賃」「アルバイトの給料」「チラシの広告費」などです。これらを「販管費(販売費及び一般管理費)」と呼びます。 長男の700万円から、家賃や給料を500万円払ったとしましょう。残った200万円が次男の「営業利益」です。 これは「本業のビジネスでどれだけ稼いだか」を示すため、投資家が最も注目する超重要な利益です。
3. 三男:経常利益(通称:けいつね)
【式】営業利益 + 本業以外の収支(利息など) = 経常利益
パン屋を開業する時、銀行からお金を借りていれば「利息」を毎月払わなければなりません。逆に、お店の余ったお金で株を買っていて「配当金」をもらえることもあるでしょう。 次男の200万円から、銀行への利息を20万円払ったとします。残った180万円が三男の「経常利益」です。 略して「けいつね」と呼ばれ、会社の借金事情なども含めた「普段の総合的な実力」を表します。日本企業がとても大切にしている指標です。
4. 四男:税引前当期純利益(臨時ボーナス・トラブル込み)
【式】経常利益 + 特別な出来事(特別損益) = 税引前当期純利益
ビジネスをしていると、毎年は起こらない「特別な出来事」があります。 例えば「使わなくなった古いオーブンが高く売れた!(特別利益)」「台風でお店の看板が飛んでいって修理代がかかった…(特別損失)」などです。 三男の180万円に、オーブンが売れて儲かった100万円を足すと、280万円になります。これが四男の「税引前(ぜいびきまえ)当期純利益」です。
5. 五男:当期純利益(最終的な手残り)
【式】税引前当期純利益 - 税金 = 当期純利益
最後は国に納める「税金(法人税など)」の引き算です。 四男の280万円から、税金として80万円を支払いました。最終的に手元(会社の金庫)に残った200万円、これが末っ子の「当期純利益」です。 株主への配当金はここから支払われるため、PER(株価収益率)の計算などに使われる重要な数字です。
投資家はココを見る!5兄弟の使い分け方
この5兄弟の違いを知っていると、ニュースや決算書の「見え方」が劇的に変わります。投資家は以下のように数字のウラを読み解きます。
① 「純利益」が過去最高!でも「営業利益」は下がっている?
ニュースで「最終利益(純利益)が過去最高!」と出ると飛びつきたくなりますが、実は本業(営業利益)はボロボロで赤字スレスレということがあります。 なぜそんなことが起きるかというと、「会社の土地やビルを売って、一時的に特別利益が出ただけ(四男の段階で増えただけ)」かもしれないからです。来年売るビルがなくなれば、一気に赤字に転落する危険なサインです。
② 「営業利益」は黒字なのに、「経常利益」が赤字?
本業(営業利益)は順調に稼いでいるのに、経常利益(三男)になると赤字になる会社があります。これは「過去の借金が多すぎて、利息の支払いで利益が吹き飛んでいる」状態です。自転車操業になっている可能性があるので注意が必要です。
まとめ
利益の5兄弟は、以下のように役割分担されています。
- 売上総利益:商品の魅力度
- 営業利益:本業の稼ぐ力(一番大事!)
- 経常利益:借金も含めた普段の実力
- 税引前当期純利益:今年の特別な出来事を含んだ結果
- 当期純利益:最終的に株主のモノになるお金
企業の実力を正しく見抜くには、一番下の「当期純利益」だけを見るのではなく、「本業の営業利益がしっかり稼げているか?」を確認することが投資の第一歩です。
次に企業のニュースを見る時は、ぜひ「どの利益の話をしているのかな?」と意識してみてくださいね!

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